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当然の星を

エスカレーターを駆け上がっていく。
塾の帰りの小学生らが、
ホームに向かって行った。

中の一人が、電車、来たぞと
改札を抜けながら、叫んでいた。

隣を歩いていたぼくは、
ずいぶん、騒々しいなと、
ゆっくり歩いた。
同じ電車に、乗るようなことに
なりたくは、なかった。

夜になると、大人は飲みに行き、
子供は塾に行き、ぼくは、
星を見る。

面白いことを見つけようと、
壁の広告を、眺めもするけれど、
ぼくは、当然、星を見る。

ホームに電車が入ってきた。
小学生らの声が消えていった。
……ほっとした。



# by konnakanjiyakedo | 2012-05-18 23:00 | ぬ~ん | Trackback | Comments(0)

心なしか感触

心なしか、風が冷たく、
一人、過ごしやすい夜、
あなたは布団の上に寝転んで、
ほっとする 。

シーツの感触もひんやりしていて、
隣にその柔らかな人が、
いてくれないものかと、
ふやけた想像を湧き立たせる。

人恋しい。
それはシーツの冷たさのせい…
いや、そんな単純なことじゃないのは
明らか 。

その頼りない心情を、
人恋しさだとは受け入れたくない。
受け入れれば、よけいに淋しいから。

あなたは都会の一人暮らし。
平凡でやや気弱な男。
あなたは、明日も早いからと、
眠くなった目をこすり始める。
……さて、眠るとするか。

テレビを消して、灯りを消して、
そうそうトイレに行って。

あなたは薄暗いキッチンの横を通って、
玄関のそばにある洋式トイレに入り、
便器の蓋を開いて、
溜まり水目掛けようと、
社会の窓を開こうとする……

いつもは意識しないが、
あなたは、溜まり水に自分の姿が、
縦に細長く写っているように、
見えている。

季節の変わり目は、人の心の変わり目。
だから、人の視覚まで変わり目か。

あなたは、
意味不明な思考をいったん仕掛けて、
奇妙な訪問者に気づく。

こんばんは……
か細い声、頭の上から聞こえてくる。
あなたは、真上を見上げる。
そして、息をのむと同時に、
鼓動を二、三回、けつまづかせる。

オモイデというコウモリに似た、
羽のある生き物が、
宙にぶら下がっているから、
あなたは自分の姿も顧みず、
その生き物の口から吐き出される、
その柔らかな人の匂い、声、感触、
それから、心根、望み、真実などを、
体中に浴びてしまう。

あなたはわかっていながら、
なす術なく、
体中に伝うオモイデの息に、
溶けていくようだ。
早く、部屋に戻って布団に入り、
眠りについてしまわねば。
あなたはそう言いながら
舞い降りたオモイデを髪にぶら下げ、
トイレから逃げ戻る。
すでに、顔は溶けている。

あなたは、自分が何者かさえ、
もう、わからない。
耳に入ってくる音だけはわかるけど。

こんばんは……
こんばんは……
こんばんは……



# by konnakanjiyakedo | 2012-05-17 20:54 | ぬ~ん | Trackback | Comments(2)

捲れ

眠ってしまいそうなのは、
夕べ、眠れなかったからで、
今日に興味がないからではない。

短い一生なのだから、
毎日に興味を持って生きる。

それが どんなに小さなことでも、
次はどうなるんだろうと、
思っていれば、
自ずとページを捲っていくものだ。

# by konnakanjiyakedo | 2012-05-16 20:57 | 独り言 | Trackback | Comments(0)

町の理由

鳥が鳴き、人が目覚める頃、
ぼくは、草の坂を下りて、
町に向かう。

お日様が、雲の間から顔を出して、
やっぱり、今日は晴れだと、
ニコニコするから、
ぼくも、町で、笑えたらいい。

町は、怖い人々でいっぱい。
油断していると、時間ごと、
遠くへ売り飛ばされてしまう。

そんな町に、どうして向かうのか、
初めは、よくわからなかった。

鳥が鳴き、人が目覚める頃に、
町に向かうと、良いことがあるって、
いつだったか、誰かに聞いた。

町に着いたら、
電気と油をいっぱい使って、
あちこち走り回る。

怖い人々が追いかけてきたりする。
ぼくの顔は、いつも強張っている。

町で笑えたらいいな。
そうすれば……草の坂を上って、
寝床に帰ると、
あなたを、優しく抱きしめ
られるから。

人は、町で笑って、優しく
なれる。
町は、昔、そのために、
生まれたんだ。

# by konnakanjiyakedo | 2012-05-15 22:57 | ぬ~ん | Trackback | Comments(0)

その花を見て

なんて、美しいんでしょう。
その花の色は、あなたの色になり、
私の塞いだ心に、潤いを
与えてくれました。

本心が、荒んでいる私に、
その花は、微笑んでくれたのです。

ほんとうは、呼んでもらいたくて、
何度も、話しかけました。
小さな言葉を並べました。

一人よがりだと、
わかってはいたけれど、
話さずにはいられなかったのです。

なんて、美しいんでしょう。
その花を眺めながら、
私は、あなたを思っていたのです。



# by konnakanjiyakedo | 2012-05-14 21:59 | ぬ~ん | Trackback | Comments(0)

空を吐く


早いか、遅いか、その違いが、生き方を変えることになる。

人は、どんな形にせよ、いつか死ぬのだから、
この世に意味を感じるなら、生き方を磨くことが大切だ。

幸せになろうとして、少しでも可能性があるなら、
そこで、努力していく。

幸せになろうとして、可能性が見えないなら、
現実を、素直に受け止めて、道を歩き続けていく。

辛くても、生き方を磨くことで、太陽が、笑いかける。

ため息をつくのは止めよう。
早いか、遅いか、その違いが、生き方を変えるときに、
間違いなく、致命傷になる。何もかも、失うことになる。

ため息が出そうになったら、目を瞑り、上を向いて、
空を吸い込んで、空を吐き出すのがいい。

すべては、自分の中にあるのだから。

# by konnakanjiyakedo | 2012-05-13 15:03 | ぬ~ん | Trackback | Comments(4)

一人で思う傘

曇り空の日になった。
傘を持って行く方がいいと、
一人で思い、外に出た。

体調が思わしくない。
天気のせいと、自分のせいと、
どちらもあって、もやもやする。

事故が多い。
あまり、変わっていないのに、
ニュースに流れるから、
そう、感じるんだよ。

傘の先を、アスファルトにつき、
歩きながら考える。
体が痛むのと、事故を考えるのと、
どちらもあって、また、
もやもやする。

道端に咲く花は、紫蘭と言うらしい。
紫もあれば、白もある。
花の名前を調べるには、
インターネットよりも、
もっと良いことがあるんだ。
たぶん、誰かと親しくなること。

体が痛むのと、事故を考えるのと、
人間と親しくなるのと、
やっぱり、もやもやする。

何にも、心配しなくていい。
今が、一番、と思っていい。
傘を持っていれば、
雨が降っても大丈夫だから。

もやもやは、すぐに隠れてくれて、
時間には、間に合うよ。時間には、遅れないよ。


# by konnakanjiyakedo | 2012-05-12 20:17 | ぬ~ん | Trackback | Comments(8)

私は私の

座席に缶珈琲の缶と、
エビアンのペットボトルが、
置きっぱなしになっていた。

私は、その隣に座るべきか、
別の場所に座るべきか、
一瞬、躊躇したが隣に座る
ことにした。

つまり、この不始末は、
私が、やらかしたと、
思って頂いても構いません。
そう周りの乗客に宣言した
ことになる。
そして、終点に着いた 。

今度は他人が置きっぱなしにしたこの缶と、
ペットボトルをどうするんだと、
私の中のもう一人の私が、
ぼそぼそ、問いかけてきた。

えっ、しょうがないなぁ。
捨てに行きますよ。
いえ、捨てさせていただきます。
捨てさせていただきますよ。

私は私の中のもう一人の私に、
威勢よく言って、
珈琲缶と、ペットボトルを、
両手で鷲掴みにした。

寒い週末に起きた、
ただそれだけの、出来事。
私は、鷲掴みにした珈琲缶と
ペットボトルを、
一つずつ、分別箱に入れて、
賑やか過ぎる駅を、後にした。



# by konnakanjiyakedo | 2012-05-11 21:18 | ぬ~ん | Trackback | Comments(2)

その程度

ハンバーグを焼くときは、
肉汁が残らないように、
しっかり火を通すのがいいらしい。

ハンバーガーなら、
モスバーガーよりマクドナルドが
いいらしい。

なるほど、食べ物の好みからして、
わからないでもない。
肉汁が溢れるハンバーグは、
たぶん、胃にもたれたり、
気分が悪くなったりするのだろう。

ということで、
妻のハンバーグが出来上がった。
たくさん出来上がった。

肉汁が溢れないハンバーグに、
味ポンを、少しかけて食べる。
うん……美味しい。

ぼくは、どちらでも大丈夫、
どちらでも、食べられる。

でも、妻らしい、このハンバーグが、
やはり、一番、美味しい。

肉汁って、その程度のことになる。
その程度になることに、
もっと、もっと、出会いたい。
これは、そんな話……

# by konnakanjiyakedo | 2012-05-10 20:38 | ぬ~ん | Trackback | Comments(8)

美しい線

あなたのことを思うと、
寂しくて、しょうがない。
あなたのことを思うと、
切なくて、しょうがない。

もしかして、これが、恋か。
違うとしたら、いったい何……
ほかに、どんな情なら、
説明できるのだろう。

一本の線が残るメモには、
わからないことへの苦悩があり、
あなたの影が残る詩には、
蜻蛉の日々が綴られる。

ほんの数時間、生きて、
ほとんどの時間、淀みに沈んで、
恋なのか、欲なのか、夢なのかと、
泥の中でもがく日々。

あなたのことを思うと、
苦しくて、しょうがない。
あなたも、線を……
美しい線だけを、残していくのか。

# by konnakanjiyakedo | 2012-05-09 22:13 | 愛しい | Trackback | Comments(4)
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置き手紙…のようなものです。


by konnakanjiyakedo
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